【インタビュー(2)】evening cinemaの来歴。メンバーが集まるまでの長い旅

最終更新: 2020年9月12日

2015年夏頃に活動開始した、evening cinema。しかし現在のメンバーが集まったのは、つい最近のこと。原田夏樹のソロプロジェクトとして活動していた時期もあった「evening cinema」の来歴と、現メンバーが加入した経緯を語る。


(インタビュー・テキスト:矢島由佳子)



―まず、evening cinemaというバンドをやろうと思ったきっかけは?


原田:僕が大学生だった頃って、Yogee New Wavesとかnever young beachが登場した時期だったんですよ。おこがましい言い方をすると、同世代で同じようなところにリスペクトを感じてる人たちが音楽をやってて、「これ、僕もやりたいかも」って思ったんです。自分が作るとしたらどんな曲になるだろう、ピアノで作るということもあってメロウなポップス寄りになるかもなって思いながら、“jetcoaster”を作ったのを覚えてます。その曲ができてバンドを結成したのが始まりです。



―そのときのメンバーは?


原田:大学のサークルの友達と、友達の友達だったベースの山本(和明)を紹介してもらって。でも山本以外の二人は、『A TRUE ROMANCE』(2017年発売)を出したあとに、就職とかが理由で「続けていくのはキツイかもしれない」ってなっちゃって。


―そのあと、『CONFESSION』(2018年発売)を出したときは「ソロプロジェクト」として活動してましたよね。


原田:そうなっちゃってた(笑)。山本は最初からずっといてくれてるんですよ。だけど「二人でアー写撮るの微妙じゃね?」ってアイツが言い出して。アルバムを作ろうという話は当時のレーベルとしてたし、僕も作りたかったので、メンバーは不安定な時期だったけどエンジニアの葛西(敏彦)さんが先輩方のミュージシャンを呼んでくださって作ることができました。


―そして『CONFESSION』からの2年半のあいだに、isokenさん(Guitar)と石澤衛さん(Drums)が加入しました。二人を選んだ経緯は?

(左から)dr.石澤衛、ba.山本和明、vo.原田夏樹、gt.isoken


原田:isokenは大学の先輩で。サークルは別だったんですけど、飲み仲間みたいな感じで大学生の頃からつながってはいたんです。それで「ギター探してるんだよな」ってチラッと話したら、「いいよ、やるわ」って言ってくれて。


石澤は、山本と同郷(北海道)なんですよ。小中一緒だったらしくて。呼んできてもらったら、「めちゃくちゃええやん」ってなって。『CONFESSION』をリリースしてから半年後くらいに二人ともサポートで参加してもらうようになって、1年後くらいの去年の初夏に、「四人でやりたいんだけど」って話をしてOKをもらいました。メンバーを集めて固定するまでに時間がかかったので、ようやくという感じですね。やっぱり僕は「バンド」に対する憧れがすごくあるんですよ。


―それはなぜ?


原田:僕一人で作ると、自分の範囲でしか収まらないような気がずっとしていて。誤算が欲しいんですよね。偶然みたいなものをすごく欲してる。僕の作るスタイルは、みんなにデモを渡す段階で音を全部入れちゃってるんですね。自分含めみんなが未熟だった頃は、山本はちょっとアレンジしてくれてたけど、他メンバーは僕のデモをコピーする感じでしかなくて。「それはバンドの醍醐味がないな」って思ってたんです。僕も経験をそんなに積んでるわけではないし、まだまだ知らない音楽のこともたくさんあるので、自分が作ったデモからいい具合に脱線してくれる仲間が欲しいと思ってたんですよね。そうすると、僕の手癖で作っちゃうところも打破してくれるんじゃないかなとも思うし。


―今のメンバーで完成させた『AESTHETICS』は、そのあたりも納得して制作できました?


原田:はい、「バンドってこんな感じなんだ」っていう楽しさがありました。このメンバーになってから、飲む回数が増えたんですよ(笑)。飲みの席でする細かい話とかが、スタジオで試すといい具合にハマったりするので、そういうところも面白いなと思います。すごく頭の悪い言葉を使うと、「飲みで通じ合うバイブス」みたいなものが今の四人にはありますね(笑)。


―山本さん、isokenさん、石澤さんの音楽のルーツは? 代弁して語ってもらうことはできますか。


原田:一度そういう話をしたことがあって。「お互いのルーツについて熱く語る会」みたいな(笑)。その日にメンバーとしてやっていくことが決定したんですよ。


―それはぜひ聞きたいです、どういう話をされたんですか?


原田:isokenは、NUMBER GIRL、ZAZEN BOYSに憧れがあったみたいで。確かに彼が大学の頃にやっていた音楽は、結構そういう感じもしたし。ブラックミュージックを聴くようになったのはハタチ超えてかららしくて、ロック少年だったみたいです。だから歌心的なところで、僕と通じるところがある。カラオケに行って二人でアジカンばっかり歌ったり(笑)。


石澤は、冨田ラボさんとかを聴いてるって言ってるけど……小学生の頃に、山ちゃん(山本)が衛くん(石澤)に「最近お前なに聴いてる?」って聞いたら、衛くんがめっちゃ嬉しそうな顔をして「ORANGE RANGEって知ってる?」って言ったらしくて。そしたら山ちゃんはアニキがいてかぶれてたから、「お前は大衆向けの音楽を聴いてるのか、ダサッ!」ってポロッと言っちゃったらしいんですよ。それが衛くんのトラウマらしくて(笑)、未だにルーツがないのが悩みって言ってます。


山ちゃんは山ちゃんで、変な人で。あの人が好きなのは、ジャコ・パストリアスなんですよ。そこから、ここ数年は「アニソンとかJ-POPが最強だよね」みたいに言ってますね。


―そうしてメンバー探しの長い旅を経て、航海に出る準備が整った、という感じですね。


原田:結構旅をしましたね。でも、近いところにいたんだなって。僕としては、一回一人でやってる経験があるので「もう手放したくない」って気持ちがあるんですよ。だから曲を作るときも、メンバーに「この曲めっちゃ弾いてみたい、叩いてみたい」って思わせたいというのが大きなモチベーションでもありましたね。


◆インタビュー(3):9/11(金)公開予定

evening cinema『AESTHETICS』徹底解剖インタビュー&全曲解説


◆インタビュー(1)

“summertime”の作曲家・原田夏樹の生い立ちと、意外な音楽遍歴




◆ミニアルバム「AESTHETICS」より「純愛のレッスン」ミュージックビデオ


◆evening cinema各種リンク

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